xCurrentの概要
xCurrentは
確実な即時送金を実現
xCurrentは主に銀行による国際送金時における即時決済と送金情報の全てのプロセスの可視化を可能にする法人向けのソフトウェアになります。
xCurrent導入により、送金元銀行と送金先銀行間において送金情報の確認は勿論、取引前段階での決済内容の確認や決済後の着金確認等もリアルタイムで可能になります。
ここで一旦、現在の国際送金についてみてみましょう
現在、国際送金ではほとんどの場合においてSWIFTという仕組みを使い送金と送金情報の伝達が行われています。SWIFT(国際銀行間通信協会)はその名の通り、国際送金時における銀行間の送金情報の通信を執り行う組織です。しかしSWIFTでの送金は実に不安定でコストや日数のかかるものなのです。ちょっとSWIFT送金の概略図を見てみましょう。
例えば群馬銀行からA国のB銀行へ国際送金する場合に直接
国際送金時に、各国の送金の窓口、中継点になる銀行があります。
それを「コルレス銀行」といいます。
群馬銀行から日本の中継銀行(主にMUFG)に送金されそのMUFGとコルレス契約を結んでいるA国のA BANK、そしてB銀行といった流れを経て送金が行われます。
さらにMUFGとコルレス関係にないX国に送金する場合、X国とコルレス関係にあるA国のA BANKを経由し、X国のX BANKからY銀行と煩雑な送金経路を辿ることになるのです。
また、自国の大手銀行は相手国コルレス銀行に相手国の通貨を保有しておくための口座を用意してあります。(図の例で言えば、MUFGはA BANKにA国通貨を大量保有するMUFGの口座を持っている。)これをノストロ口座と言い、世界中のノストロ口座には5兆ドルとも30兆ドルともいわれる膨大な死蔵資金が保管されているとされています。
こうした一連のSWIFTを利用した国際送金は多くの日数とコスト、そして無駄なノストロ口座のプール金、さらには送金失敗のリスクをはらんだ不安定な方法と言えるでしょう。
xCurrentはこうしたSWIFTでの送金に代わり、たった数秒という時間、そして数円のコスト、失敗リスクを排除した、高速かつ低コストで安心な国際送金を提供するため開発されました。
以下はxCurrentの簡単な概略図になります。
このようにxCurrentで繋がった銀行同士はお互いにリアルタイムでの送金情報のやり取りが可能になります。この送金情報は主に「送信者」「受取人」「金額」「通貨種」などとなっています。
この送金情報の相互やりとりは送金元銀行と(状況によってはコルレス銀行を経由し)受け取り銀行という異なる台帳同士を跨ぐことになります。その異なる台帳間の通信を司るのがxCurrentの基盤に利用されている ILP(Interledger Protocol)という通信プロトコル(規格/規約)です。
この次の章で、xCurrentの内部構造を紹介した後、内部のコンポーネントの働きを踏まえつつxCurrent送金のフローを紹介しますが、ここではまず。「xCurrentは銀行間において法定通貨での送金及び、送金情報のリアルタイムな相互伝達を行うソフトウェア」ということを覚えておいてください。
xCurrentの採用を進める企業・組織
xCurrentは主に銀行や沢山の顧客を抱える大手送金業者向けのソリューションです。
以下に
2021年01月時点でxCurrentの採用を表明している企業をあげてみます。
- 中央銀行
- サウジアラビア通貨庁
サウジアラビアの中央銀行で自国内の銀行がxCurrentを利用して送金インフラを向上させる支援を行うと表明 - 海外の銀行
- Santander銀行
スペインの大手銀行。4ヵ国間で使えるxCurrentを利用したモバイル送金アプリのリリースを発表 - 日本の銀行
- 三菱東京UFJ銀行、みずほフィナンシャルグループ他、全61行
内外為替一元化コンソーシアムを結成し、リップルの技術を用いた国内外送金システムの構築を進行中 - 一般企業
- LianLian Pay(連連)
中国の大手決済サービス。決済システムにxCurrentの導入を発表 - 他100以上の銀行・企業がxCurrentをはじめとするRippleNetへの参加、提携を表明しています。
またRipple社CEOのインタビューで提携数が200を超えるまで提携の公表は行わない旨の発言があり、話題になりました。「提携のペースが速いので今の提携数を公表してもすぐに変わってしまうから」という意図があるのかもしれませんね。そうなら提携スピードの速さを物語っていますね。
2019/11にはRippleNetに参加する企業が300を超えたとの発表がありました。
最終的にはこのように多くの銀行や送金業者等がRippleNetで繋がり、シームレスな国際送金網が構築されていくでしょう。
なお、xCurrent自体は、端的に言うと「法定通貨ベースの国際送金を行うソリューション」であり、SWIFTのように「送金情報の伝達、可視化」を担うソリューションです。xCurrent単体では通貨の実送金は行われません。ですのでXRPもここでは使われません。
仮に企業がxCurrentのみで、法定通貨ベースの国際送金を行う場合、実送金は既存のノストロ口座を利用した決済方法や他外部セトルメント(決済)手段を使う必要が出てきます。この辺りは既存のSWIFTと同じような送金手段になるのですが、基盤となるILPのおかげで、より高速で安価、そしてより安全で確実な送金が可能となります。
また、2018年11月には、xCurrentはバージョン4.0にアップデートされ、xRapid(名称変更により現在はODLと呼ばれている)とシームレスな接続が可能となりました。利用する金融機関の所在する各国の規制にも関連してはきますが、オプションでxRapid+XRPの送金を選択し、さらなる送金時間の短縮とコストの削減が可能になります。またXRPでの送金を行うようになれば、既存のノストロ口座の死蔵資金を開放することも出来るようになるでしょう。
xRapidの詳細はこちらから
このイメージのように、xCurrentを採用した銀行や送金業者、取引所などがネットワークで繋がり、即時決済の送金情報伝達網が構築されていきます。